良い映画を観たあとは、宙に浮くほど気持ちが良い。
実家に帰ったときに、リビングにある70インチのどでかいテレビで「ベルリン、天使の詩」を観たのだが、静かに座席に沈み込んでいくような興味深い作品だった。
この映画は、天使が人間の女性に恋をする物語だ。僕が観たままをレビューしていく。
「ベルリン、天使の詩」あらすじ/概要
壁崩壊前のベルリンを舞台に、人間に恋してしまった天使の運命を、美しく詩的な映像でつづる。人間たちの心の声を聞き、彼らの苦悩に寄り添う天使ダミエルは、サーカスの空中ブランコで舞う女性マリオンに出会う。ダミエルは孤独を抱える彼女に強くひかれ、天界から人間界に降りることを決意する。
引用:映画.com
【監督】
ヴィム・ヴェンダース
【出演】
ブルーノ・ガンツ(ダニエル)
オットー・ザンダー(カシエル)
ソルベーグ・ドマルタン(マリオン)
【日本劇場公開日】
1987年9月23日
【時間】
128分
【国】
西ドイツ・アメリカ
ブランコシーンが以上に長かった本当の理由と感想
「あ〜、長いなこのシーン」と、鑑賞中に違和感を感じたマリオンのブランコシーン。実はこのシーン、監督の特別な思い入れがあるシーンであった。
本作のヒロインであるマリオンを演じたソルベーグ・ドマルタンは、当時のヴィム・ヴェンダース監督の彼女だった。そんなソルベーグ・ドマルタンをマリオン役に起用したのだが、彼女はマリオンの役を演じるにあたり空中ブランコを練習したそうだ。
ソルベーグ・ドマルタンは見事に空中ブランコを乗りこなし、撮影終了後には実際のサーカス団から勧誘を受けるまでに成長。危険を冒してまでマリオンという役に入り込んだ。
このような背景があり、ヴィム・ヴェンダース監督は「せっかく危険を冒してまでブランコを習得してくれたんだ。ちょっとくらい長くてもいいだろう」というような感じでこのシーンが長くなった。
僕はXにてこの作品を知り、何の前情報もなく観賞した。率直にいうと「好き」な作品だ。フォロワーさんのマイベスト映画だけあって、とても興味深い映画だった。
「ベルリン、天使の詩」は脚本のない映画
この映画は詩情的な言葉が連なるなか、しっかりと物語が進んでいく。モノクロとカラーの使い分けもさることながら、その表現を最大限に活かした脚本にも注目すべき点だ。
しかし、本作には脚本がなく、ほとんどが即興で撮られたもの。それにしては深い知慮が感じられる作品である。
作中に出てくる登場人物も面白い。映画俳優にブランコ乗り、地下でライブをするバンドマンなど、彼らが発する心の中の声をダニエルを通じて聞けるのが面白い。
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