戦争と映画:高校生にも見せたい!実話を基にした教養としての戦争映画6選

高校生にも見せたい!実話を基にした教養としての戦争映画6選
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戦争映画は、人類が犯してきた数々の過ちや残忍な現実を教えてくれる、学びが詰まった映像作品である。時には鉄砲玉を喰らったような心の痛みが生じることもあるだろうが、その痛みを受け止め、自分なりに咀嚼することで、自身の学びや教訓となり得るのだ。歴史とは、今を知るための手掛かりだ。歴史を知れば、今がわかる。

今日は、高校生にも見せたい教養としての戦争映画として、実話に基づいた6つの作品をご紹介する。もちろん高校生だけではなく、大人にも観てほしい作品だ。

僕自身も社会科の授業で何度も戦争映画を観たことがあるのだが、やはり教養として取り扱うべき映画としては有効だと思う。

戦争映画には、暴力的なシーンや残虐なシーンが含まれています。苦手な方は干渉をお控えください。

目次

【すべてが実話】高校生にも見せたい教養としての戦争映画6選

今からご紹介する映画は、すべてが実話に基づいた作品である。ここから学べる感情や教訓は、もしかしたら人それぞれで違うかも知れない。だが、戦争の悲惨さと残虐さは、共通して認識いただけるだろう。

高校生にも見せたい教養としての戦争映画6選
  • シンドラーのリスト
  • アメリカンスナイパー
  • ハクソーリッジ
  • ヒトラーの忘れもの
  • 戦場のピアニスト
  • ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命

1.シンドラーのリスト

シンドラーのリスト
映画.com

「シンドラーのリスト」は、第二次世界大戦時に多くのユダヤ人を救った一人の実業家の物語だ。その実業家の名はオスカー・シンドラー。ドイツ人でありながら、ユダヤ人を1,100人以上(1,200人ともいわれる)も救ったとされる人物である。

当時は無名であったリーアムニーソンをシンドラー役に抜擢したのは、俳優による観客の先入観を取っ払いたかったから。そして、実際のホロコーストの映像が白黒であったことから、この映画も色をなくしたと語るスピルバーグ。この選択は、どちらも正しかったように思う。実際、僕は白黒だからこそドキュメンタリーのようなリアリティを感じ、深刻な現実を心に刻めた。

この映画は、僕のマイベスト映画である。歴史を学び、偉業を知り、人の残虐さと優しさを目の当たりにできる映画だから、高校生にもぜひ観てほしい作品だ。

1993年/195分/アメリカ
原題:Schindler’s List
公開日:1994年2月26日
監督:スティーブン・スピルバーグ
主演:リーアム・ニーソン

2.アメリカンスナイパー

アメリカン・スナイパー
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「160人を射殺した、一人の優しい父親。」このキャッチコピーは作品の本質を見事に射抜いている。

戦争で生きた“伝説”ともいわれた一人のスナイパーがいた。その名は、クリス・カイル。彼はイラク戦争の際に160人もの命を射殺し、米軍史上最強のスナイパーと呼ばれた。しかし、彼はスナイパーである前に一人の優しい夫、良き父親であり、戦争によって命を奪わなければならないことに苦悩と葛藤を強いられていた。そんな彼の半生を描いた作品が、「アメリカン・スナイパー」である。

監督は「グラン・トリノ」や「硫黄島からの手紙」を手がけたクリント・イーストウッド。主演は、「ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」で人気を獲得したブラッドリー・クーパーである。そして本作は、第87回アカデミー音響編集賞を受賞している。

戦争によって奪われていく命や、奪う側の葛藤などが緻密に描かれた本作は、ぜひ高校生にも観てほしい一作である。本作のラストはなんとも悲痛で、やりきれない。

2014年/132分/アメリカ
原題:American Sniper
公開日:2015年2月21日
監督:クリント・イーストウッド
主演:ブラッドリー・クーパー

3.ハクソーリッジ

ハクソー・リッジ
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当時高校生だった僕は、「アメイジング・スパイダーマン」のアンドリュー・ガーフィールドが主演の作品とあって、すぐに劇場へと足を運んだ。そこで目の当たりにしたのは、戦争を駆け抜けた“武器を持たない兵隊”さん。名前はデズモンド・T・ドス。彼は沖縄の断崖絶壁(ハクソーリッジ)で繰り広げられた日本最大の陸上戦で、武器を持たずに衛生兵として敵味方関係なく兵隊の命を救った人物だ。僕は観終わったあと、歴史の授業で課題として出されていたレポートの題材に、デズモンドさんを選んだ。

レポートには、A4用紙4枚にびっしりとデズモンドと沖縄戦のことを書き、その知識は今でも僕の脳内に定着し続けている。知識として定着するほど、衝撃的で学びの深い映画なのだ。

2016年/139分/アメリカ・オーストラリア合作
原題:Hacksaw Ridge
公開日:2017年6月24日
監督:メル・ギブソン
主演:アンドリュー・ガーフィールド

4.ヒトラーの忘れもの

ヒトラーの忘れもの
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「ヒトラーの忘れもの」は、1945年の第二次世界大戦が終わった直後、デンマークでドイツの少年兵たちが、自分たちの母国(ドイツ)が埋めた地雷を撤去する物語である。本作は史実に基づいた悲劇の実話である。

ドイツが埋めた200万個の地雷を撤去するのは、デンマークに置き去りにされたドイツの少年兵たち。この事実がすでに戦争の負の遺産であり、心を痛めてしまう。地雷はどこに埋められているかはわからず、棒みたいなものでつつきながら砂浜を匍匐(ほふく)前進していく少年兵たち。次第にその恐怖は心を侵してゆき…。

この作品は、大規模な戦闘シーンや恐ろしい爆撃などの描写はない。しかし、地雷という静かな恐怖へと立ち向かわなければならない心理的な負担は計り知れず、観客の息を詰まらせる。地雷が発動し、吹っ飛ぶ姿は見るに耐えない。劇中でも、少年兵が命を落とすことに良心の呵責に苛まれる軍曹が描かれている。

戦争には、こんな悲劇も付きまとうのかと、学びを得た作品だった。

2015年/101分/デンマーク・ドイツ合作
原題:Under sandet
公開日:2016年12月17日
監督:マーチン・ピータ・サンフリト
主演:ローラン・モラー(軍曹)/ルイス・ホフマン(少年兵)

5.戦場のピアニスト

戦場のピアニスト
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戦場のピアニストは、高校生の頃に観たかは覚えていない。卒業してたようにも思うし、在学中に観た記憶もある。しかし、第二次世界大戦時のナチスによるユダヤ人虐殺の様子は、今でも鮮明に記憶の表面にへばりついている

監督を務めたロマン・ポランスキーは、自身もゲットーで過ごした経験を持ち、母親を収容所で亡くしている。実はロマン・ポランスキー監督、「シンドラーのリスト」でスピルバーグから監督をやらないかと声がかかっていたのだが、当時はその申し出を断ったことでも知られている。その後、自身の経験を映画に活かし、ユダヤ人ピアニストである“シュピルマン”の自伝を映像化した。

「戦場のピアニスト」には、過酷な環境下で生き延びるシュピルマンと、迫害を受けるユダヤ人が映し出される。その様子は目を背けたくなるものばかりだが、やはり戦争の恐ろしさを知るには大切な場面だと思う。いや、人間が持つ思想の傲慢さや怖さというものが学べる。

2002年/150分/フランス・ドイツ・ポーランド・イギリス合作
原題:The Pianist
公開日:2003年2月15日
監督:ロマン・ポランスキー
主演:エイドリアン・ブロディ

6.ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命
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第二次世界大戦中、ユダヤ人を強制収容所から連れ出し、300人もの人々を救った実在の女性を描く。アントニーナは、夫婦でヨーロッパ最大級の動物園を営んでいた。1939年、ドイツによるポーランド侵攻をきっかけに、ユダヤ人が次々と虐殺されていく現実に心を痛めたアントニーナ。生きとし生けるものの命を大事にする彼女は、ユダヤ人を動物園に匿い、救うことを決意する。

高校生の頃に映画館で観に行った記憶が、今も克明に思い出せる。動物園に隠れ潜むユダヤ人の人々が、動物に癒されるシーンは印象的である。暗く閉ざされた動物園の地下室で、ドイツ軍の詮索から逃れる様子は肝を冷やさずにはいられない

また、アントニーナには家族がいる。ドイツ軍に見つかれば全員無事では済まないのに、自分の信念を貫いたアントニーナは、弾丸でも打ち抜けない強い勇気の持ち主だと思う。妻と娘ができて、より一層アントニーナの強さをジリジリと感じる。そうそうできることではない。その真っ直ぐに貫かれた信念は、きっと高校生の心をも打つはずだ。

2017年/127分/チェコ・イギリス・アメリカ合作
原題:The Zookeeper’s Wife
劇場公開日:2017年12月15日
監督:ニキ・カーロ
主演:ジェシカ・チャステイン

実話を基にした戦争映画6選〈まとめ〉

戦争は、好きではない。だが、きっとなくならない。今も常に争いが絶えないし、僕ら個人間でのコミュニケーションでも日々いざこざは発生する。不条理で理不尽、残忍なうえに非人道的。でも、これが世界で起きていたことであり、今も起き続けていることなのだ。

我々は歴史に何を学び、何ができるのだろうか。映像作品を通して少なからず何かを得られれば、何かを感じられれば、より良い世界を作っていけるのではないだろうか。

少し深い問いになってしまったが、ここで終わろうと思う。高校生にも見せたいが、大人にも観てほしい作品たちだ。ぜひ、心に余裕があるときに鑑賞してほしい。

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中学高校で映画にハマり、20歳までに鑑賞した作品は1,000を超える。
現在はフリーライターとして、映画のコラムや企業のホームページなどの執筆を担当。映画のジャンルは問わず、面白そうな作品はなるべく映画館で鑑賞する“映画館好き”でもある。

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